Column
新たな挑戦
2024/4/2
今年度より愛知県立芸術大学の准教授となりました。この3年間、非常勤講師としてレッスンに通っていましたが、教授の花崎薫先生の退任に伴い、後を引き継ぐことになりました。昨日、辞令交付式があり、とても緊張しました。
兵庫PACオケ+東響での14年のオケ生活、勝手気ままにやらせて頂いた4年半のフリーランス生活を経て、新たな世界への挑戦となります。これによって生活の半分が愛知になりますが、東京を始め各地方での演奏も出来るだけこれまで通り続けていきます。
関西から東京に出てきた僕にとって、愛知は新幹線で通り過ぎることの多い場所で、3年前に非常勤講師のご縁を頂くまではほとんど関わることが無かった土地でしたが、今後は更に深く知っていきたいと思います。そしてもちろん、学生の皆さんと過ごす時間を楽しみにしています。愛知・名古屋の皆さん、どうぞよろしくお願い致します!
ヤーノシュ・シュタルケル先生没後10年
2023/4/28
本日4月28日、我が師匠ヤーノシュ・シュタルケル先生の没後10年。
偉大なる師というのは、専門的な事だけでなくそれが結局のところは日常的なものに繋がっているという事を身をもって教えてくれる。敢えて生徒に教えるというよりも、先生自身とその生き様が既にその教えを体現していて、僕たち生徒はその教えを習うだけではなく、背中を見て生き様を学ぶ。そして文字通り倣う。
シュタルケルメソッドとも呼ばれるあの教え〜
〜演奏でも日常の生活においてもAnticipate(先取り)をすること。音を伸ばしている時・弾いていない時も、その中の隠された拍(hidden beat)を感じること。裏拍(1と2との「と」)こそ大切であること。音楽も身体の動きも円で捉えること。身体の動きと共に呼吸を上手く使うこと。音楽でストーリーを語ること。いつもクリーンであること〜
上に書いたこと以外にも教わったことはまだまだたくさんあり、そしてその教えのほとんどは音楽だけではなく日常の生活態度にも繋がってくる。
留学から帰国して18年が経った今でも自分の身に付いているとは到底言えないけれども、先生の教えを受け、毎週のように間近で見ていたものとしては、もちろんこれからも自分の演奏に生かし続けると同時に、後進にもそのメソッドを伝えたいと思う。
ところで、現在僕が大学でチェロを教えている2年生の男の子A君は、あろうことかヤーノシュ・シュタルケルを知らなかった(!)。10年前に先生が 亡くなられた時にA君は9歳だったとは言え、僕たち世代もとうに亡くなった巨匠チェリストたちの録音を聴いて育ったし、世代の問題でもない気がする(実際、A君は現在活躍しているブルネロやケラスやゲリンガスも知らなかった)。こうなったら余計に先生のメソッドを広めなきゃと思う。
ご挨拶
2023/1/1
ホームページが新しくなりました!
これを機に、日頃思ったことや感じたことを(SNSのように限られた字数に縛られずに)徒然なるままに書いていきたいと思っています。時々ふらっと立ち寄って読んで頂けると幸いです。
さて、2019年の7月に東京交響楽団を退団して、あっという間に3年半が過ぎました。退団して半年後にパンデミックの世の中になるとは想像も出来なかったけれど、それでも自分で決めた道を進むのはワクワク感とドキドキ感が常にあり、毎週のように違う場所で違う人たちと色んな種類の音楽を演奏するという今の環境をとても楽しんでいます。特に最近は、「そのグループの中でチェロが自分一人」という機会が増えて(カルテット、トリオ、タンゴ、ジャズなどなど)、これこそがオーケストラを辞める時にたくさんやりたいと願っていたことなので、とても有り難く、幸せを感じています。もちろん、オケに所属していた時が辛かった訳ではありません!東響での11年間は本当に楽しく、オケでの経験をたくさん積む事が出来たからこそ(毎年約100公演も弾いた!)今の自分があるのです。
2022年には、6/1に初めてのソロアルバム「STORY」をリリースすることが出来ました。これまでの音楽人生の中で出会い、特別な想いを抱いて大切に演奏してきた曲ばかりを並べた、僕の半生を振り返るような渾身の1枚が作れたことは本当に感謝しかありません(T-toc RecordsのKさんありがとうございます)。これを聴けば僕がどんなチェリストなのかが分かる1枚になっているので、是非聴いて頂きたいです。
加えて、11/16には清水西谷の待望~の(笑)セカンドアルバム「TRIO」もリリースすることが出来ました。ライヴの度に「今年こそはリリースを」と言い続けてきて、もはや「出す出す詐欺」状態でしたが、ようやく形にする事が叶いました。清水西谷はヴァイオリンとチェロのデュオですが、2人だけだとライヴがしんどいと気付き(笑)素晴らしきピアニスト&作曲家で同志の朝岡さやかさんと一緒にトリオでライヴをすることも今までは多かったので、今回のアルバムはトリオで演奏するために作った曲やアレンジのものばかりを集めて「清水西谷 featuring 朝岡さやか」としての作品となりました。こちらもリリースが実現するまでにたくさんの方々にサポートして頂き、感謝しかありません。サブスクで配信もしているので(1st アルバムのKODOも)、コチラも聴ける人には是非聴いて頂きたいです。
兎にも角にも、楽しいコンサートにたくさん参加させて頂いた2022年に大感謝です。そして、ホームページのリニューアルと共に始まった2023年、今年も音楽的な良い年になりますように。どうぞよろしくお願い致します。
2023年 元旦 西谷牧人